茶箪笥のモリタート

考察は妄言 深読みは趣味

機動武闘伝Gガンダムを観た話

はい。


年末年始にかけて機動武闘伝Gガンダム(1994年)を視聴したので、その感想文です。
前書きというか視聴に至った流れはガンダムWの感想記事↓に書いたとおり。
3monopera.hatenablog.com


いや〜Gガンダム、面白かった。凄い好き。

魅力的なキャラクターたちの全力ハチャメチャ超必殺技バトルや彼らの紡ぐ物語は時に熱く時に笑え時に涙し……と最高のエンターテイメント作品だった。

掛け声でガンダムを呼び出し、専用のスーツを身に纏い、必殺技の応酬をする。
わたしは自分自身が思っていたより変身とロボットとタイマンバトルが大好きだったようで*1心の中の小学生が大喜びしてた。
わたしも指パッチンでガンダム召喚してえな〜。

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作品について

シナリオ自体は至極明快。

ネオジャパンの代表としてガンダムファイトに出場することになった主人公ドモン・カッシュが、デビルガンダムを伴って地球へ逃亡した兄を探しながら、冷凍刑に処された父を解放するためファイト優勝を目指して戦っていくというお話。

そして物語の元凶ともいえるデビルガンダムを取り巻く様々な思惑に巻き込まれ、戦いの中で仲間と共に成長し、巨悪に立ち向かっていく。


ドモンのバトルをメインに据えながらも間にシャッフル同盟の仲間たちの掘り下げを挟んだり、数話ごとに新展開を作ったりと飽きずに最後まで楽しめる構成だった。

基本的に1話ごとに話が完結するためテンポがよく、物語を通した目標自体も「デビルガンダムを倒す」「ガンダムファイトに優勝する」とわかりやすく提示されているためつっかえることなく観ることが出来た*2


王道なシナリオと個性的でキャッチーなキャラクターデザイン、世界の覇権を争って各国代表のガンダムがタイマンバトルするというぶっ飛んだ設定にまず目を引かれる本作であるが、なかなかどうしてその舞台設定はシリアスだったりする。


主人公ドモンとカッシュ家に襲いかかった悲劇はマジで不幸すぎて笑えないレベルだし、垣間見える地球とコロニーの格差、荒廃しきった地球と顧みられることのない民間人、ガンダムファイトの代理戦争としての側面なども立ち返って見るとけっこうヘビー。

更に終盤では巨悪を倒すために各国の最終兵器奥の手が次々と飛び出してきて(その絵面の勢いに私は大爆笑してしまったのだが)、主要大国がそういった軍事力をいつでも使えるように隠し持っていたという事実がしれっと提示されていたりする。

ガンダムファイトによって戦争が必要なくなった世界だと言いつつも、そこにあるものは薄氷の上の仮初の平和だったのだ。
放映されていた時代を思うとなかなか皮肉が効いている。


まあでも共通の敵を相手にして各国がちゃんと持っている隠し玉を使い、総力をあげて立ち向かえたのだからあの世界の未来は案外明るいのかもしれない。
国家の戦力の開示がないままガンダムファイト優勝!また 次回!で終わっていたら作中で挙げられた多くの問題について根本的な解決の目途は何も見えなかっただろうし。

手の内を明かしてしまった以上、世界各国は腹を割って話し合うスタートラインに立ったわけである。結果論とは言え、上手い方向に進めたのだ。
まさしく希望の未来にレディーゴーな良い着地点だった。

絵面の面白さと話の内包するシリアスさのバランスが絶妙だったな〜と思う。
オタクって明るく見えて実は重い話大好きだから……


あとGガンダムのOP、2つともメカの動きとカメラワークが凝ってて格好良かった。この作品に限らずだが、OPって格好いいシーンと情報が圧縮して詰め込まれているので見ていて楽しい。
EDの無限ループアニメーションもなんだか癖になる出来だった。
曲としては特に後半のOPが好みだった。爽やかでちょっと懐かしいメロディラインと物語も折り返しに来たんだな……と思わせる歌詞がイイ。
筋金入りの離別フェチこと筆者としては後期OP中の歌詞「いつか時代が変わっても僕は忘れない」にその波動を感じてニッコリしてしまった。

後半EDラストの集合写真もそういう感じで好き。
シャッフル同盟はサポーターも含めたあの大所帯がみんなそれぞれ個性的で楽しかったなあ。


舞台設定について


話は変わって舞台設定について。
ネオ○○という安直な未来設定の国名大好き。


ガンダムWや大昔に兄の遊んでいたコンパチヒーローもののゲームで見たおぼろげな知識しかないが、私の知るコロニーの形は機械的かつ画一的な、窮屈そうな形状をしたものだった。
そのイメージに違わず、そして理屈においても当然であるが、ガンダム諸作品において虐げられる側がコロニー側であることも一応知っていた。


ところがどっこいGガンダム、各国が思い思いの巨大かつ独創的なコロニーを作り上げ、地球を捨てて豊かな暮らしをしているという設定なのである。かなりのとんでも設定ではあるものの、Gガンダムの世界ならばそうもなろう!という有無を言わせぬ勢いと説得力はすごいと思った。

だからこそガンダムファイトという代理戦争のリングとして、ここならばいくら暴れても構わんとばかりに地球が使われることになるのである。そしてそれが様々な思惑の発端となっていくわけで……

Gガンダムアナザーガンダム*3の第1作品目だったらしいので、それまでの対立構造をひっくり返してこれまでとは違う世界線であることを印象づける意図があったのかもしれない。

ぶっ飛んでいるようで案外練られた舞台設定にはつくづく感心する。


それはそれとしてガンダムファイト決勝トーナメントの舞台がネオ香港だったの、監督なのかスタッフなのかはわからんけど趣味全開って感じで好き。

あのネオンと屋台の雑踏とビル群の入り混じった独特の雰囲気は個人的にも好きなので楽しかったし、挿入歌もネオ香港に入って広東語になるこだわりようには笑った。
そして多分Gガンダムのあの無茶苦茶感は香港のアクション映画リスペクトのノリなんだなと妙に納得できたし腑に落ちた。

いいよねあのアクション一点突破の世界観。久しぶりに「酔拳」が観たくなった。


シナリオ所感


以下からは物語の根幹といえるようなネタバレも含む感想文になります。
何卒御注意されたし。

Gガンダムには明かされる事件の真相!とかあの人物の行動の意図とは!といった要素があるぶんネタバレの罪は重いのだ。
未視聴で本作に興味のある方がもしここにいたらまず視聴してほしい




というわけで。
Gガンダムを鑑賞して一番驚いたのは明るげな絵面のわりにネームドキャラそこそこ死ぬじゃん!!!という点。
大規模な戦争行為はないためモブ死は少なめだが、名有りキャラメインキャラがわりと死んでいったように思う。


ガンダム作品は戦争モノだし、無知ながらも人がよく死ぬ印象は持っていたのだが、如何せん最初に観たガンダムであるWではメイン級キャラがほぼほぼ生存したため気が抜けていたのかもしれない。


まあでも、敵にせよ味方にせよ死ぬキャラクターたちは作中の役割をしっかり果たして理想的な最期を遂げていたと思うのでグッドです。
作品世界における死は最大の見せ場なのだ!

序盤のチャップマンの死はガンダムファイトの暗部と作品の世界観を見せる意義があったし、シャッフル同盟の引き継ぎイベントはこれからは彼らでなくドモンたちが先頭に立って道を切り開かなければならないのだと示すために必要だったと思う。格を失わないための退場ともいえる。

ウォン首相は黒幕の前座として最高のやられ方をしてくれたし、ミカムラ博士も事件の真相を明かし改心し仕事はしっかり果たしての最期だし、ウルべも暴れに暴れて異形となり灰になって崩れる最期は悪役として百点満点だった。

兄さんたちと師匠の死は語るべくもない。どちらも違う熱さと感動をもたらしてくれた。

シュバルツが散ってマスターアジアが暁に死すまでの濃度がすごいし、最高潮の盛り上がりを2話連続でぶち当てて来た出し惜しみのなさも相当にすごい。


あと、デビルガンダムの打倒とガンダムファイトの優勝という2つの目的が結果的に1つの方向に収束していく話の持っていき方が上手いと思った。

これらがずっと別ベクトルに展開していたら話がとっ散らかりはじめるだろうし、かと言ってどちらか1つの話に絞っていたら49話も持たずダレていただろう。マジ絶妙。

そしてこの2つの目標の間に挟まれた
敵対する東方不敗の思惑とは?
例の覆面の人の正体とは?
何やらデビルガンダム事件には裏がありそうだが?
など、わかりそうでわからないいくつかの謎。

計算によるものなのかバランス感覚によるものなのかは定かでないが、いずれにせよ視聴者を飽きさせず作品に引き込む脚本サンの手腕にはしびれた。


あとGガンダム、例の事件の真相や犯人についてのスリードがかなり上手くない?

物語開始時点で既に口のきけるカッシュ家側の当事者がいないから証言はいくらでも偽造できるし、ウルべはデビルガンダムから直接攻撃を受けてる≒デビル細胞に接触してるし、ミカムラ博士はドモンの受ける非道なシュミレーション実験を止めもしないしで序盤に出された情報だけでも既に怪しさ満載なのだが、カラト委員長にヘイトを向けたりインパクト大の師匠やクッソ怪しいウォンを登場させるなど上手いこと他の要素で覆い隠して真実を撹乱していたと思う。


情報がしっかり提示された上でちゃんと真相に驚けたので満足度が高い。
ゲルマン忍者の正体もどうせこうなんだろ~と思っていたら変化球で来たのであっそうなんだ!?と結構びっくりした。



あとはドモンからレインへの愛の告白が最高でしたね。
レインと視聴者を待たせに待たせただけあった。
ファイターは拳でしか語り合えない、拳で分かり合えたからあのガンダム連合になったという事実がありつつも、最後の最後に大事なことは口で伝えろ!とシンプルな答えに行き着くのは素晴らしいと思う。
ところで石破ラブラブ天驚拳から出てきたあのおじさんは誰だったんだろう……
はじめはシュピーゲル戦後のヨリを戻したタイミングで愛してるくらい言うことも出来たんじゃないのとも思っていたけれど、よくよく考えるとあの時点ではドモンの抱える問題はまだ何の解決もしていなかった。

デビルガンダムと兄のこと、師匠のこと、父のこと。更にはアレンビーの行方不明とシュバルツの件も重なった。そういった諸問題をまず解消しなければ、自分自身のことに進めなかったのだろうことは容易に想像出来る。

ガンダムファイトを勝ち抜き父も冷凍刑から解放され、世界とレインを天秤にかける段になってようやく出来た愛の告白だったのだと思うと感慨深い。
ドモンは絶対マルチタスクできないっしょ。わたしが言えた義理じゃないな。


語ろうとすると作品後半の話ばかりになってしまうけれど、話の盛り上がりにはそこに行くまでに積み立ててきたキャラクターたちの魅力や話への期待感が不可欠なのです。
無論その積み立てをカタルシスに昇華する技量も不可欠。
1つの作品として本当に完成度高かったな〜。


ガンダムデザイン所感


すごかった。
ガンダムファイトの舞台設定に違わず国ごとに開発した機体が登場するのだが、どのガンダムも各国の誇張されたイメージが反映された一度見たら忘れられない強烈な個性を持っていた。
中にはもう国とか関係なく某美少女戦士にしか見えないガンダムもいたり、悪ふざけに対して良くも悪くもおおらかな当時の気風が見えて愉快だった。


個人的に最高にツボだったのはマタドールガンダム
胴体が牛の顔になっているずんぐり体型なのもおかしいけど必殺技が「レッドフラッグカモン」て。名前とビジュアルと必殺技が牛と闘牛士の間でフラフラしててふーん、おもしれぇガンダム……って感じだった。


あと好きなガンダムマンダラガンダム
ゴエモンインパクトみたいな腕をして、下半身は鐘という圧倒的に「ありえんだろ」枠のガンダム。なのだが、見ているうちに段々と格好良く思えてくるのだからすごい。何事も表現次第なのだと勉強になった。
搭乗者キラルとそのエピソードが良かったんだよな〜。復讐を胸に秘めた盲目の暗殺者。得物は錫杖の形をした仕込み刀。こんなん皆好きだよ。
ラストバトルのガンダム連合では久々の再登場でちゃっかりまとめ役ポジションに就いていたし、やはり人気があったのかもしれない。


そんな全身全霊でふざけ倒したデザインの各国代表ガンダムに対し、主人公機であるネオジャパン代表シャイニングガンダムゴッドガンダム、ただただストレートに格好いいのだ。
主人公機だから当然といえば当然なのだが空気読めてねえぞ!と野次が飛びそう。
まあとにかく、日輪背負ったゴッドガンダムは本当に格好いい。

ウイングとゼロもそうだけど背中に何か背負ってる(物理)ガンダムはなんか特別感あってイイよね。
ドモンとレインの絆の深さを再確認するシャイニングからゴッドへの乗り換えイベントも熱かった。デザインもエピソードも活躍も百点満点なのだからズルい男(?)だぜ。2つの目のOPで映るギアナで役目を果たしたシャイニングの姿もめちゃくちゃ好き。ロボが自然の中で朽ちる姿はどうしてこうも唆るのか。
レインの乗ったライジンも格好良かった。シャイニングと対になるような配色と、武器が薙刀と弓っていうのがシブくてイイ。


シャッフル同盟ガンダムたちのデザインも各国の特徴を活かしつつ格好良さを損なわないバランス感覚が絶妙だった。

特に好きなのはガンダムローズ。あのマントデザインの肩とかイロモノ感はありつつもちゃんと格好良くまとまっていてすごいと思った(こなみかん)。
マックスターアメリカ要素盛り盛りで流石にゴテついた印象だけどメカの変形をこれでもかというくらい見せてくれたので楽しかったしOKです!


ガンダムシュピーゲルはドイツ要素どこにあるのかな……あの頭部かな……
とりあえずあのデザインはすごく好き。肘のところにブレードが付いているのがシンプルに格好良い。
シュピーゲルの最期、デビルガンダムに突進して念入りにダルマにされていくところがぬるぬるした作画でフェチを感じた。


あとはマスターガンダムも最高に格好良かったね!!!!
黒ベースの機体にマントっぽくもなる赤い羽根、特徴的な頭の角に、トドメとばかりの風雲再起!馬に乗るガンダムってなんやねんと思いつつもビジュアルがかっこいいのだからもう何でもヨシ!
風雲再起かわいいし頼りになるし最高。


デビルガンダムはボディも巨大なガンダムの顔になってるのが騙し絵みたいでナイスデザインだった。
あと新宿でのデスアーミー軍団の種明かしがすごい好き。人々を襲撃してるのではなくてデビルガンダムの中に戻るために寄ってきてるって真実がおぞましく、筋が通っててイイ。

デスアーミーといえば頭部のモニター部分に瞳?があるだけでやたら生き物チックに見えるのだから面白いなと感じた。


ところで父さんと兄さんはあの禍々しいデザインと性能のガンダムで本当に地球を救えると思ってたんですかね……?

墜落の衝撃でプログラムがバグったと言っていたが、正直遅かれ早かれアルティメットガンダムはああなっていたのではないかと思わなくもない。自律型メカが人間の脅威と化すのはお約束だし。な!GLaDOS!*4

あれらが避けられない悲劇だったとすれば、カッシュ一家が優秀すぎたのが全ての元凶っすね……悲しいね……


あと最後に一つ。あのファイタースーツ
もう慣れたから良いけど、はじめの頃は何が悲しくて毎話ガタイのいい男たちのピッチリスーツを眺めなければならないのだろうと思っていた。Gガンダム制作陣狂ってるよ……
服の作画コスト削減が目的なのだと思うけど、レインとかナスターシャさんよりドモンとかファイターのボディラインを多く見せられてるって考えるとさぁ……
余談だが友人にこのことを愚痴(?)ったら「劣情を抱く一歩手前」と言われて怖かった。そんなことある?


キャラクター所感


本作はトンデモバトルと人間ドラマで構成された作品である。
キャラクターの掘り下げがそのままシナリオの魅力や作品の深度になっているというか、いい意味でキャラクター主体の作品だった。
そんなわけで各キャラに対する思いは千々にあるのだが、既にかなり文量を費やしているので泣く泣く主要な面子に絞り込んだ。

ピックアップできなかったけど船のおじいちゃんと孫たち、めちゃくちゃ好きだったよ……

  • ドモン

ハードボイルドを装っていた甘ったれ小僧な主人公。
本作は彼の成長譚なので、未完成の人物としての描かれ方が強かった。キングオブハートと言いつつ中盤までは肉体面もファイターの中で圧倒的というわけでもなかったし、今考えると師匠にやる事(人類抹殺)が出来たが故の半分押し付けられた形の称号だったのだろう。

へこたれた時とかによく出てくる素?の口調にナイーブさや気の優しさ、成熟していない精神性が現れていて味わい深いキャラだなあとしみじみした。
とりわけミカムラ博士を思わず「ミカムラのおじさん」と呼んでしまったシーンは印象深い。人を憎みきれない側面は度々描かれてきたが、事件の元凶までも泣いて身を案じるとは思わなかった。それが彼の甘さでありいいところでもあるのだろう。

初期はやさぐれて一欠片の余裕もなく突っ走っていた彼が、ギアナ高地での仲間との交流やデビルガンダムとの決着(仮)を通して気のいい普通のあんちゃんに進化し、ガンダムファイト決勝の中でどんどん使命感に燃える熱い男に成長していくという人間性の回復にはなんだか親心で嬉しくなった。

しかしレインの扱いだけはずっと散々だった。ドモンにとって甘えられる人がレインしかいないとはわかりつつもずっとハラハラさせられた。
だからこその最終回のストレートな愛の告白が引き立つわけですけどね。
巻き起こった悲劇に揺れ動きながらも成長し、悲嘆しながらも己の手できっちり事件の清算をし、最後には男を見せて幸せを掴み取ったドモンには称賛を贈りたい。
レインと二人、支え合って幸せになれよ!

彼の成長はレインがいて師匠がいてシュバルツがいてシャッフルの仲間たちがいて、と多くの人に支えられてのものだった。
物語スタートの境遇が最低最悪だったぶん仲間に恵まれて本当によかったなぁ……


  • レイン

邪険に扱われてもずっとドモンに寄り添いサポートし続けた献身的ハイスペックガール
医者だしガンダムの整備士だし自分自身もそれなりに戦えるしで才女ってレベルじゃない。そしてなにより母性すら感じる愛の深さ。先述した通り本作はガンダムの乗り換えイベントが激アツ激ドラマチックで最高なのだが、その立役者はレインです。ナイスヒロイン。

あと、サイサイシーにスカートをめくられて恥ずかしげに顔を伏せながら目だけを仰いで「見たのね?」とドモンを睨む姿が最高でした。レインかわいいぜ……

例のキョウジの写真(カッシュ家の家族写真 )を撮ったのがレインだと描かれた時、なんだかよくわからない感情がこみ上げてわたしは泣いてしまった。
共に写真に写るでもなくただ嬉しそうにカッシュ家の写真を撮った幼いレインを見たら、小さい頃からずっと一緒にいて、本当にずっとドモンに寄り添い続けていたんだと改めて感じて……たまらなくなっちゃって……

それを踏まえてのデビルガンダム事件の真実を知ったときの本気の台パンはマジで胸が痛かった。
愛するドモンの苦しみの元凶が他でもない己の肉親だと知った彼女の心境はいかばかりか。理知的な彼女が物にあたる程にやる瀬が無かったのだと思うと非常に辛い。
どうかこれからはドモンと一緒に幸せになって。

それはそれとして「今の私はネオドイツの女!」は最高に笑わせていただいた。ビジュアルが愉快なのに登場人物全員真剣なGガンダムのノリほんと好き。


シャッフル同盟って名前、絶妙にアホっぽくて好き。
4人とも個性があっていいキャラしていたし、バラバラだった彼らが戦いを経て掛け値なしの仲間になっていく様は割と暗めな本作の救いだったと思う。

悲しい過去とトラウマ持ちの陽気な軟派キャラ
礼儀正しくキザだけど実は熱血パワーキャラ
おちゃらけたトラブルメーカーな天才少年
寡黙だが公正で心優しい強面の囚人
と、それぞれ2面性を持っていて、抱える悩みや問題が話の中で徐々に明かされていく。
それらをドモンや自国サポーターの助力で解決していく描き方も王道ながらドラマとして魅力的だった。Gガンダム仲間がいるから成長できるという側面をかなり大切にしている感じが好き。
それぞれについて語り始めると絶対止まらないので各メイン話の中でも好きな話のピックアップで我慢する。


チボデー:第31話「ピエロの幻惑!怒れガンダムマックスター
チボデーの弱さと情けなさと格好良さがつまった話だと思う。
なんかこう、寄り添ってくれる女の子に己の弱い所をさらけ出して甘える感じに「これがモテる男の手腕か……」と変に感心してしまった。クールでスマートな男じゃなくてチボデーみたいなだらしないけどやる時はやるキャラがモテ男担当なの、なんか生々しくない?


ジョルジュ:第43話「獅子争覇!グランドガンダム迎撃作戦」
チボデーが勝手にパンチ縛りプレイ始めたもんだからジョルジュがめちゃくちゃ頑張っていた。裏ではマリアルイゼさまも頑張っていたので実質ネオフランス回。ナイスファイト。
ジョルジュは貴公子然としていたいけど追い込まれると泥臭いパワーファイターになるというのがいい。その上この回は閃きも冴え渡っていたからすごいぜ。


サイ・サイシー:第37話「真・流星胡蝶剣!燃えよドラゴンガンダム
ずっとおちゃらけてた天才少年の全身全霊をかけたバトルはマジで熱かった。腕をもがれても脚で!頭部で!って戦い方が格好良い。個人的ベストバウト。
それとは別に「試合放棄!?恋にドキドキ、サイ・サイシー」ってタイトルは天才だと思う。サイ・サイシーメイン回は動きが多くてとても楽しい。


アルゴ: 第8話「仇は討つ!復讐の宇宙刑事
アルゴメイン回はビターな雰囲気の話が多くてイイ。囚人だもんね。初期の薄暗いハードボイルド風な話運びもなんだかんだ楽しかったな。
仇が実は仇じゃなかった失意で崩れ落ちるグラハムに弁解もせず、彼の妻を死なせたのは事実だから仇を討ちたければ来いと背中で(?)語るアルゴは寡黙な男として百点のキャラ立ちだった。
あとナスターシャさんの女口調がいっぱい聴けるのでそこも好き。


それぞれが自分のところのファイターのことを大事にしていて安心感があった。
全員集合のホーム感大好き。

あと先述の通り、2つめのEDの集合写真(レインがドモンにキスする瞬間)がそれぞれのキャラクター性がわかってすごい好きなんですよね。
チボデーの特大リアクションとジョルジュのヤレヤレ感、ニヤニヤしながら覗き込むサイサイシーに微動だにしないアルゴ。
チボデーギャルズは嬉しそうにガン見して、レイモンドはハンカチを噛んで、じいちゃんたちは明後日の方向に拝みだすし、ナスターシャはめちゃくちゃ取り乱す。
ところでなんでマリアルイゼさまハブなんですか(激怒)

ちなみにわたしの今作ビジュアルが好きナンバーワンはナスターシャさんです。全てが最高。椅子になりたい。
冷酷そうに見えて苦労人で、責任感が強く公正な人だった。そんな人間性も好き。最終的に国と立場を捨ててアルゴと行くのいいよな……
恐ろしく早いアルゴのほっぺのキスマークカットイン、オレでなきゃ見逃しちゃうね。


  • アレンビー

明るく無邪気な美少女サブヒロイン。わりとハスキー?系の声でそこも癖になるかわいさ。
搭乗するガンダムが攻めすぎててハラハラしたけどそれはそれとして負けヒロインとしては八面六臂の大活躍だった。
私だってドモンが好きなんだもんって絶叫しながらのレインとのガンダムバトルは哀しいし熱いし最高。その後の最終決戦でちゃんとレインに好きだと伝えなよ!とドモンの背中を押す彼女は輝いてた。
そうじゃないとドモンを諦められないって台詞、マジで愛が深いよな……


  • シュバルツ(+キョウジ)

ゲルマン忍者ってなんだよ(困惑)。

視聴中はビジュアルと言動が面白すぎて登場するたびに笑っていた(今も笑う)けれど、終わってみると格好良いキャラだったなと思えるあたりすごい。
ふざけた見た目でも本人が本気ならマジに見えるのだとわたしはGガンダムに教えられた。
それはそれとして。

シュバルツの最期は声優サンの熱演が群を抜いて凄かった。
それに感化されてシュバルツたちについて改めて考えさせられ、視聴後数日は発作的にその最期を思い出しては「兄さんッ……」とジョビジョビ泣いていた(オタク特有の誇張表現)。
どうにもシュバルツ及びキョウジ兄さんは気の毒というか救いがあんまりなくて胸が苦しくなる。もしかして……これが……恋!?

そんな事はどうでもいい!(ゲルマン忍者のドアップ)

死は救済論者a.k.aただの腑抜けことわたしとしては、死ぬより苦しい目に遭うくらいなら死によって苦しみから解き放たれる方がマシでは?と思ってしまうので、下手に強靭な心身と善良な精神を持っていたが故に死ぬことも出来ず過酷な道を人知れず進んでいた彼らに要らん同情を抱いたのだった。

シュバルツというロスタイムを使って起こした行動が、助かろうとするのではなく弟を支えること、そしてデビルガンダムを倒すために弟とその仲間たちを導くことという自己犠牲精神よ。
薄れゆく意識と死にゆく身体で考えることが弟が無茶しないように支えることだなんて、あの兄さんあまりにも人が良すぎんか……

なんというか、デビルガンダムに取り込まれて倒されるだけだったならまだそんなに辛くはなかったが、助かろうとするでも誰かに助けを求めるでもなくただ孤独に戦っていたのが非常に辛いなあと思うわけです。この点は師匠にも当てはまる。
そんなわけで、シュバルツが正体を明かした際にドモンに「私も辛かったぞ」と弱音を吐いたシーンがすごく印象的だった。わりと救いがねえ!
「言えたじゃねえか」「聞けてよかった」

ドモンもあんだけ陰から日向から支えられていたと知ったら、例えアンドロイドだったとしてもアンタは俺の兄さんだと泣きたくなるよなあ。
そして最終決戦の際、ドモンが回想にて「兄さん」と「シュバルツ」を別個に呼んでいたのが地味にいいなと思った。シュバルツも自分とキョウジは区別していたようだし、個々として存在を認識されたうえで兄と思われるのは嬉しかろう。

地球に降りてからの彼らの運命は辛く苦しいものだったが、久しぶりに会えた弟に兄らしいことが出来たギアナの数ヶ月はわりとエンジョイ出来ていたんじゃないかと思いたい。そして成長した弟の手で目的が果たされたことも……

それが救いだったと信じて黙祷!南無三!
ドラマとしては最期まで含めて百点満点なので文句はないのだ!!!!

ちなみに年明け、営業さん*5ガンダムのビルドシリーズ?というガンプラ主体のアニメにてカッシュ一家(ジェネリック)が和やかにガンプラ作ってるシーンがあると聞き、わたしは断末魔をあげて爆発四散した。ビルドシリーズはそういう過去作の救済要素多いらしいぜ。手厚いね。

自分で言うのもなんだけど物語作品においてここまで一人のキャラクター、及びその死に揺さぶられることが今までなかった*6ので少し困惑している。
しみじみ良いキャラでした。


味方かと思いきや敵対者となるのは結構びっくりした。
はちゃめちゃに強いしマスターガンダムと風雲再起はかっこいいし、自分から縁を切ったくせドモンに師匠じゃないと言われたら怒るし、ウォン首相を利用するつもりが利用されてたり、愉快で格好良くどこか愚かしくて憎めない、とても魅力的なキャラだった。

あの東西南北中央不敗スーパーアジアのシーン好き。黒地にネオン感溢れるカラフルなスーパーアジア表記がお洒落だった。

ガンダムWのドロシー然り、敵対者が内に秘めた思惑を吐露するシーンが大好きなので師匠の最終決戦めちゃ良かったです。

その師匠の独善的な目論見を受け止め、人間も自然から生み出された一つだというちゃんとしたロジックで対応したドモンは偉いと思うよ。そのおかげで師匠も納得して論としての負けを認めることが出来たようだし。

その後の崩折れそうになるドモンの胴体に技をずらして立たせたり、悪党のワシ1人倒せんぞ!と言って鼓舞したり、師から弟子に最後に出来る事を託す感じがたまらなかった。
45話は師匠の表情の変化がまたイイんだこれが……

シュバルツ&キョウジの死と師匠の死が2話続けてだったの、改めて考えると本当にすごい。
最高だったからブルーレイ買っちゃお〜と思って調べたら2巻だけプレミアついてたのも納得ですわ。流石に買えん。再販してくれ。
話が逸れた。

ウォン首相にすら狂ってると言わしめた師匠の野望において、ドモンさえ新宿に現れなければという台詞から伝わる愛弟子だけは巻き込みたくなかった個人的かつ唯一の人間的エゴがいいな〜と思う。
企て自体もエゴだけどさ!

決着後の精神世界で決別していた旧シャッフル同盟たちの歩み寄りがあるのも好きだった。武闘家は拳でわかり合う生き物である反面、真に理解するためにはもっと話し合うべきだったという反省会。ここに最終話の布石がちゃんとあったのだなあと。

そして話し合いをしなかった事で袂を分かってしまったドモンと師匠、言葉で通じ合うことができたドモンとレインという対比構造も切なくていい。
愛弟子に看取られた師匠にとって、死は下された罰でもあり、間違いなく救済でもあったよ。
やりきった悪党にとって死は優しいのだ。


  • 悪役三連星

2つめのOPで3連続カットインをキメるおじさんたち。
正義!正義!悪!かと思いきや悪!悪!悪!だと判明しちょっと笑ってしまった。

皆同情の余地もないクソみたいな悪行をこなし、ちゃんと散っていった所が素晴らしい。
何を隠そう、わたしは清々しい程のクソ野郎が清々しくクソな行いをし、清々しく無様に散っていくのが大好きなのです*7
そういう意味でもあのおじさんたちは最高の役目を果たしてくれたなあと。

ウォン首相のいかにも香港マフィア!ってビジュアルと胡散臭い言動、利用したアレンビーの暴走の巻き添えになって死んだかと思いきやしぶとく復活して馬に蹴られてトドメを刺されるその顚末も素晴らしかった。

ウルべは見た目からしてめちゃくちゃ怪しいのに上手く隠したよな〜と感心する。「こんなこともあろうかと!鍛え続けたこの身体!」(ムキィ)Gガンダムらしい説得力で最高だった。わたしも悪役になったら一回言ってみたい。

ミカムラのおじさんは改心したけど取り返しのつかないことをしでかしたのもマジなのでちゃんと役目を果たして死ねて良かったと思うよ。死は救済。

師匠も含め、皆デビルガンダムに狂わされた悪役たちだったけれど師匠の目的の純粋さというか規格外感というか、やっぱり師匠は死してなお格が違うぜ!と思った。贔屓してる自覚はある。
ウルべたちも好きだけど師匠は大好き。


以上、キャラクター所感終わり。
なんか明らかに文量と熱量がおかしいキャラがいて我ながらキモいと思った。でもこういう熱量はいつか落ち着いてしまうので記録として書き留めておいたほうが面白いかなって……兄さん……


おわりに


くどいようだがGガンダム、凄くハマったし楽しかった。
近年触れた作品の中で1番好きかもしれない。
Wでも似たようなことを言っていたわたしは人間ボジョレーヌーボーです。

自分はわりと作品について偏食家で、なかなか好きになれる作品に出会う事が出来ないと思っていたのだが、もしかしたら自分の視野がだいぶ狭かっただけなのかもしれないと気づかされた。
殻を破ってくれたガンダム伝道師の営業さんには改めて感謝したい。


話は逸れるが、久しぶりに通話した大学時代の友人にGガンダムの話をしたら興味を持ってくれ、折を観て視聴してくれることになった。語り合う友人が欲しかったので嬉しかった。
営業さん……?ホラ、プライベートでまで会社の人とお話するのもなんかアレですし……
そして49話もある作品を一方的にお勧めするのは忍びなかったので、その友人が大好きな蒼穹のファフナーをわたしも視聴する約束をした。
友人はファフナー好きが高じて尾道に頻繁に出向くようなガチ勢である。

また、それとは別の友人が最近装甲騎兵ボトムズに興味を抱いていたことや、高校時代の友人がアニメのトランスフォーマー好きだったことを思い出したり、ロボアニメって思ったより日常に潜んでいるのだなとつくづく視野が広がった思いである。


ファフナーの感想文を書くかどうかは未定だが、これからもなにかしらの感想文を書き続ける所存。
何もかも未定だが、待て!次回!



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*1:最近格ゲー系のe-sports動画をよく観ていたのだが、格ゲーとガンダムファイトとのバトル構造に通じる所があったので相互補完がはかどった。

*2:Wを腐してるわけではないので悪しからず。あっちの人たちのわかるようでわからない言動も五里霧中感もあの作品の醍醐味だった。

*3:アムロやシャアの登場する世界観にある一連の作品を宇宙世紀もの、それ以外をアナザーガンダムと呼称するらしい。

*4:わたしの性癖を決定づけた最強にして最凶のメカ。酔い止めを飲んだら名作ゲームPortalをやろう!

*5:ガンダムW感想に登場した例のガンダム伝道師。30代妻子持ち。

*6:そもそも今まであまり作中でメイン登場人物の死に遭遇することがなかったかもしれない。ぱっと思いつくのが『吉里吉里人』『逆転裁判』『魔人探偵脳噛ネウロ』くらいしかない……

*7:本ブログ「茶箪笥のモリタート」はそういう意味で1番好きな作品である戯曲『三文オペラ』の劇中歌、「メッキーメッサーのモリタート」からとっています。登場人物全員クソ。